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April 17, 2005

初恋のきた道

チャン・イーモウ監督。チャン・ツイイー主演。

 チャン・ツイイーの可愛いこと。最初のアップの映像でくるくると輝きを放つ黒い大きな瞳に、観客は特に男性は釘付けになることでしょう。ところが、監督主演ともにおなじ「武士musa」の彼女が魅力的でなかったために、そちらを先に見てしまっていたわたしには、「可愛い」が続きませんでした。残念。彼女のかわいさの後ろから、気の強いわがままさが見えてしまって。これはあくまで、監督の持つ女性像にわたしが共感しない、という点の問題にすぎません。
 
 女性像に共感しなくても、この作品の美しさには感銘しましす。

 「貧しいけれど美しい」 自然が放つあふれるような色の美しさ。黄葉の木々の梢、緑の葉の間に見え隠れする主人公の紅い服、はたまたススキの穂波の銀白色。茶色い土壁にならぶカボチャの朱色。貧しい寒村のありふれた風景の中にこそ無限の色の広がりがある。都会の人工物が何もない貧しさの中に、遮られることのない自然の色彩の美しさがページを繰るようにつぎつぎと連なる。「貧しくてもこんなに美しいじゃないか」!
 しだいに観客の目は自然の美しさになれて、「美しいけれど貧しい」村人の生活が目に入ってくる。生活としての貧しさにはとても耐えられそうにない、と。

 けれども、主人公が荒れてしまった学校の破れた障子を貼り替えて赤い花の切り絵を飾るときから、作品は再び「貧しいけれど美しい」世界を見せ始める。ただし、今度の「美しい」は、自然の放つ美ではない。一途に人を恋する少女の初恋の美しさ。

 美しい自然の中の圧倒的に無力な貧しさ。貧しさの中の少女の無垢の強さ。
 彼女が惹かれたのは彼の声だった。彼の声が語るその言葉は、「読み書きを学びなさい、物事を書き記しなさい、現在と過去を知り、天と地を知りなさい」。
 無垢な彼女が「知」へいざなう声に惹かれた最初と最後の2重のシーン。ここに、もう一つの「美」を密かに伝える隠されたメッセージがある。
 自然の美しさ、純真な心の美しさ、そして、知的であることの美しさ。

 同じ監督同じ主演女優に加えて実に美しい主演男優を使った「Musa」が、退屈な作品になってしまったのは、作品に3つ目の美を上手に潜ませることが出来なかったからかもしれない。

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Comments

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Posted by: best dating sites | November 14, 2014 at 12:08 PM

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