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May 01, 2005

コーラス

声が流れる。感情が落ちてゆくより先に、涙がつーっとわたしから出てゆく。

yahooの映画レビューには「ストーリーが陳腐」というのがあった。お約束の展開ということだろう。そのとおり。学校の生徒たちと教師の話だもの。話の大筋は決まっている。それは、映画の質にとってマイナスにならない。
派手な展開で生理的な刺激を与え続ける場面。予想を裏切る驚愕のシーン。そんなものでは、私のリストには入らない。わたしは映画に(映画だけではないな)そんなものを求めていない。

13歳のジャン・パティスト・モニエの「天使の顔と悪魔の心を持つ少年」とジェラール・ジェニのただのおじさんぶりと。この2人のアンサンブルが素晴らしい。繊細な少年がたった13か14年生きてきた中でいかに人々によって傷ついてきたのか。見ているわたしたちにはすぐにわかる。そこがいい。ただのさえないおじさんがその数十年の人生の中で、自分の夢に自分自身で傷つき、たくさんのことをあきらめてきたのか、観ているものにじわじわとわかってくる。そこがまたいい。2人の傷ついた自我がコーラスによって癒されてゆくさまが、見ているわたしたちをうっとりとさせるのだ。そんなことはありっこないさ、という声ばかりの社会で、ほんとうは皆信じたいのだ。こんな形の幸福を。

マチューが学校を去るときに窓から降ってくるたくさんの紙飛行機。これは「映画」が勝利する瞬間だ。観客が監督にブラボーと叫びたくなるシーン。

美には2種類ある。私だけで密かに味わう美しさと、たくさんの人に勧めたくなる美しさと。
印象派やBYJが前者だとすれば、今日の「コーラス」は後者。確かに2種類あると確信した。
幸せの種類が違う。今日は何と言っても見ている間うんと幸せだった。そして、多くの人に勧めたくなる。これを普遍的と言うのだろう。

OSTを買って、聞いて、また見たくなって、翌日同じ映画を見る。せっかく美しい作品に出会ったら、幾度も味わう。そういう楽しみを、私の残りの人生に加えたわけだ。これも、去年BYJが私にした変化のひとつだね。

幸福は壊れやすいけれど、消えない。壊れやすいけれど、消えない。たったそこだけに、望みをもっている。

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Posted by: best dating Sites | November 14, 2014 at 08:46 PM

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