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December 05, 2005

正蔵襲名披露・志の輔落語

新宿厚生年金会館 12月3日 正蔵襲名披露。

生で見る、聞く、初めての落語。
前座がはじまると、もう、席の悪さを忘れた。聞いてイメージをふくらませる世界。落語に、また来ようと思う。落語もまた、生のよさを味わえる世界だった。

前座に続いて、小朝。ほら、舞台が輝き始める。前座との違いが生の舞台のおもしろさだ。
回転の速い語りに客席がどっとわく。この快感が落語家の喜び、聞きに来た客の喜び。
小朝は回転の速さが心地よい。
圓歌は昔の歌奴。77歳のじいさんが、年寄りを嗤って、50、60、70、の客を笑わせる。声をあげて笑ったのは久しぶりだったね。落語はこうでなくっちゃ。最後の「今はこんな息子がほしいと手紙が来る」につーっと涙が落ちちゃって。

さて、本日の真打ちは、こぶ平あらため正蔵。
長い人情ばなしを、うまくこなしていたけれど、小朝と圓歌のあとでは気の毒、という後ろの客の小声のとおり。
ここにも舞台の神さまの残酷。みばえ、声、にめぐまれていないこぶちゃんが、これから正蔵としてやってゆく。でもね。人を見に行き聞きにゆく演劇もあれば、脚本の世界を堪能する舞台もある。落語も、小朝の華とは別の、自分を消して話の世界を見せる、そんな落語家もいていい。がんばれと、思わず声をかけたくなる小さな子供のような一生懸命さがこぶ平じゃなかった正蔵の味になるかもしれないよ。それは小朝にないあじだから。


年が明けて
PARCO劇場 1月14日 志の輔落語。

まくらがややかたく、はじめは小朝の回転や圓歌の人を食った笑いに比べて、物足りないと感じたのだけれど。
それが、2本目の「メルシーひな祭り」の後半くらいから、ぐっとよくなったねぇ。ぐんぐん心をつかまれちゃった。フランス人の女の子をなんとか喜ばせたい小さい街の床屋やパン屋のおやじの間の抜けた人の良さ。こういうあったかさが、むかしはあったよね。もしかしたらまだ今もどこかにはあるかもしれないって、人を信じていきたくなる、志の輔にはそういう志の確かさがある。
3作目はお茶屋さんの親子の勘当話。人情ものは話の筋はだいたい察しがつく。それを最後まで聞かせるのは、人のやさしい心根をたどってその世界に浸りたいから。志の輔は、素朴で素直な市井の人々の中にある気高い品位のようなものを語らせると絶品なのかもしれない。気持ちよく笑って、泣いて、心からすっきりして、帰りの街を歩く幸せ。
また来年も来ようっと。今度は、全作品、聞きたいな。

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