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April 15, 2006

ライフインザシアター 第2夜

世田谷パブリックシアター  10列目右サイド 竜也の立ち位置の反対側。

第1夜から10日。ネット上の情報で、芝居がどんどん変わっている、良くなっているのニュアンス。良くなっているという予測をもって、劇場へ。ふたりが舞台正面の「客席」に向かってカーテンコールをしている最初のシーンで、「やった、大丈夫」と確信。市村さんの少々もったいぶった貫禄あるお辞儀と竜也の初々しいはじけるような礼、ふたりがロバートとジョンになっている。

最初の楽屋のシーン。10日前に、もたついて竜也が下手に見えたふたりの会話。観客の笑いをとる市村さんのとぼけた間を、テンポよく自分の間で受ける竜也。竜也がすごく上手くなっている。10日前は竜也が重くて空回りしていたのだけれど、今日はジョンの上気したかわいらしさが伝わる。意味不明の客席の笑いもずっと減った。初々しいかわいらしいこの若者が、舞台の神の手で、自信に満ちた一人前の役者に変貌してゆく、その予感を感じさせてくれる意味をもつ幕開きになっていた。

第1次大戦(らしい)戦場のシーン。敵の銃弾の前に飛び出して犬死にする若者。無謀で未熟な若さ。思いっきりりきんで演じているジョン。無駄な死をはらわたで怒る老兵。もちろんロバートの見せ場なのだ。

剣の立ち会い。軽いフットワークでこなす若手には、老いてゆく先輩俳優のつらさは見えず、先輩の要求につき合いはするが、早々に飛び跳ねるように練習の場から去ってゆく。

ふたりの弁護士の場面。若手弁護士が自分の妻の不倫の相手が先輩弁護士だと知り、なじる。若者の怒りを老獪に受け流すベテランロバートの、これは観客をうならせるシーンなのだ。
しかし、裏切りを知った若者の鋭い怒りを演じるジョンに負けそうになって、「おさえてくれないか」と頼んだロバート。ふたりは無意味に張り合ったあげく、ロバートは肝心のセリフを間違える。「赤ん坊の夫が私だと・・・」と。「間違っている・・・」とおもわずつぶやいてしまうジョン。若者は初めて、歳をとってゆく先輩の俳優の姿を目の当たりにする。

車椅子の老人と少年。美しいセリフで舞台をリードしているのは少年を演じる若い役者だ。ジョンはロバートの過剰な老いの演技を受け流して、自分の演技をしている。

救命ボートで漂流するふたりの水夫。ひとりは何十年も海で生きてきた男、もうひとりは海も人生もまだ何も知らない若者。「雨ふらないかなぁ」という絶望の吐息、「あんたの話はもうたくさんだ」という爆発。若者はベテランと対等に演じている。いつのまにかふたりが天秤ばかりの両側に位置して揺れている。

貴族の宴会に手紙をもってゆく若い兵士。ロバートが意味ありげだが芝居に関係ない言葉をかけたる。そのために、出番の直前のジョンはセリフを忘れる。どうしよう。ロバートは何の役にも立たない。それどころかロバートと話している間に、出のきっかけまで聞き漏らす。ジョンはなきそうな気持ちで、とにかく舞台にでる。その間、書き割りの裏にいるロバートには、出もセリフもない。

ヘンリー5世。見せ場のセリフを練習するジョン。のぞき見するロバート。今度の芝居にロバートの役はない。若者はセリフを練習したい。演じたい。しかし、それをさせてくれない老人の繰り言をじっとただ聴く。ジョンはみじんも動かずロバートの言葉を聞く。まるで彼が今、本番の舞台にいて、相手のセリフをじっと注意深く聴きいっているかのように。

手術室。久しぶりに、ベテラン医師が緊張する若手医師をリードしながら手術を成功させるシーン。しかし、ロバートはセリフを忘れ、ジョンのフォローにものれず台本を求め続ける。ジョンはマスクと手袋を投げ捨てて袖に入ってしまう。

脚本家は、舞台のシーンに老若のふたりの役者の下り坂と上り坂を重ねている。
脚本家が選び出した舞台と舞台とを、ふたりが楽屋でつないでゆく。
脚本家が描いたこの作品の主役は、転がりながら大きな絵になってゆく舞台そのもの。

けれども、この芝居で、主役は竜也になった。
舞台の神の指先が、ひとりの才能ある若者をそっとつまんで光の世界につまみあげる。舞台の神の掌の上で人生を長い時間生きてきたひとりの男が、それをすぐ横で見る。光がいやでも目にはいる。光を浴びてゆく若者と、影に沈みながら光を眺める男。この作品はそういう芝居になった。

舞台裏のシーンで、市村さんは用意していた軽い芝居をしなくなっていた。竜也はジョンになってしまった。市村正親さんに遠慮していた藤原竜也は消えて、ロバートに向かうジョンになっていた。笑えるシーンはむしろ増えていて、その笑いは、ジョンとロバートのからみから生まれる笑いだった。
ジョンはもっと下品にロバートはもっと卑屈になってしまう可能性が大きい脚本を、ふたりは、残酷な神にこわされない人間の芯の強さをもった芝居にした。だから、後味の悪くない作品になった。面白かった。あと2回見るのが楽しみになった。

藤原竜也くんの、新しい魅力が生まれる瞬間に立ち会っているのかもしれない、幸福感。
芝居がクリアに変化してゆく楽しみ。作品の輪郭がくっきりと浮かび上がってゆく快感。
4枚のチケットゲットは正解でした。

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