« イッセー尾形 | Main | 敦ー山月記・名人伝  »

May 06, 2006

2つのハムレット ビデオ

2003年に2つのハムレット公演があったのでした。

7月に世田谷パブリックシアターで萬斎のハムレット。演出、音楽、衣装、舞台大道具等ほとんど外国勢(イギリス人ではないかと思う)。重厚にして豪華。ゴシック調の衣装。美々しくおおがかりなセット。
11月にシアターコクーンで蜷川幸雄演出。竜也のハムレット。網で囲まれた黒い空間。モノトーンの衣装。

2つのハムレットを、くらべて、語ることができません。

先に竜也のハムレットを見てしまっていたから、それが、私のスタンダードになってしまっていた。
だから、比べて論じることが出来ない。この2つの舞台はそういう次元におけにない。
萬斎のハムレット。重厚にして難解で、豪華にして複雑で、迷路のような絵巻物で。こちらが世間一般のシェークスピアだったのか・・・、知らないと言うことはおそろしいことだったと、自分にため息をついた。

狂言の世界だけでなく舞台の世界の輝く星の萬斎・・・・けれども、
萬斎様。
これからも、テレビで、映画で、あなたの才気を存分に発揮してください。才気あふれていることは、わかった。それを好む人が多くいるだろうこともわかる。でも、

美しさは、あんなふうにこれでもかと飾り立て張り上げればよけいに、逃げてゆく。

シェークスピアがいかに難解で退屈で饒舌か、心底わかって、大がかりな演出をすればするほど言葉の目くらましに視覚の目くらましが重なって息苦しくなるということが、しみじみわかって、ほとんどの役者が「コトバコトバコトバ」の海でおぼれてゆくということが、鳥肌立つほどにわかって、

竜也のハムレットの香気。
藤原竜也という役者の行く道がいかに孤独か、思い知らされて、
わたしは切なくなった。

戯曲の中に何度も出てくる言葉、「高貴な魂の持ち主」
ハムレットをそういう物語にしたのは、
シェークスピアなのか、蜷川幸雄さんなのか、藤原竜也という若い俳優なのか。シェークスピアがそう書いたのか、蜷川さんがそうつくったのか、竜也がそうなったのか。3者がそろってはじめて、ハムレットは香り立つ。

どうか、藤原竜也をつぶさないでください。
シェークスピアをあんなふうに演じてしまうことが、普通に出来ることでないのだとしたら、彼は間違いなく神の領域にあるのですから、わたしたちに彼を観る幸せを与え続けてください。

萬斎のハムレットを見て、竜也のハムレットばかりをおもった。

|

« イッセー尾形 | Main | 敦ー山月記・名人伝  »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83948/9929578

Listed below are links to weblogs that reference 2つのハムレット ビデオ:

« イッセー尾形 | Main | 敦ー山月記・名人伝  »