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June 04, 2006

劇団新感線 天保12年のシェークスピア DVD

劇団新感線 2002年公演。この長い戯曲を若い劇団が堂々と真っ向勝負で上演したことに拍手。

実際の舞台を見ていない新感線が圧倒的に不利なのにも関わらず、2本の天保を比べて芝居として出来映えは新感線の勝ち!

前半は、お里、お文のバランスの良さで新感線の圧勝。
(くやしいけど、)阿部サダヲの王子が前半の作品全体のスパイスになっている。
後半は上川隆也の柔らかい色気が舞台を引っ張る。
様式の美しさを女性の踊りに集め、生バンドの音がリズムをつくる。
鏡に銀片が舞う三世次とお光のラストシーンは、あれは、蜷川さんがやりたかったことのように感じた。
そして、最後の竹槍をもつ抱え百姓の群れ、全共闘を知る世代には、あのたったワンシーンで充分。
さまざまな場面でそれ以上語らせてしまった蜷川さんのこだわりが、かえって舞台を長く感じさせちゃったね。

若くて達者な役者たちが、脚本の壮大な流れに逆らわず、リズム感良く仕上げた。ひとりひとりのスターとしての存在感や面白さより、役者全体のバランスを重視して観客に作品全体を分かり易くつたえようと言う意思を感じた。アンサンブルプレイに徹して、長い、しかし、良くできた脚本の面白さが充分伝わってきた。

蜷川さんの天保は蜷川さん70歳のお祝いのオールスターキャストの舞台。作品としてよりも、役者を見せた。生で見ているわたしは、賭場の場面に立つ竜也を味わっただけで満足なのだけれど、前半の夏木マリと高橋恵子の掛け合いは下卑た感じがうるさかったし、後半のカラサワくんは自分の欲望を満たしてゆくほどになんだかしょぼくなっていったのが不思議だった。
それぞれの役者が作者の井上ひさしより、演出の蜷川幸雄を強く意識してしまって、自分のパートだけを気張りすぎて、作品全体のまとまりがなくなってしまっていた。

まぁ、沢口靖子はあんなものだと思うよ。台無しにしていなかったのは、大阪のテイストが合っていたから。
彼女の存在が新感線の天保を大衆演劇風にしていて、それもありかなと思った。町内自慢の美人が祭りでスタアになって町内会のみんなが喜ぶ、ていう感じ。もっと、役者として上手な女優を使うと、作品が少し重くなる。または、逆に軽やかになりすぎる。

というわけで、同じ脚本をさまざまに演じる演劇は面白い。歌舞伎の面白さもこれかもしれない。天才がいるときは天才のために、いないときはバランスとリズム。バレエと全く同じですね。

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