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October 02, 2006

理由は。

2006年9月30日。5回目のオレステス。

カーテンコールに出てきた藤原竜也くんの表情を見るまでは、見る側のわたしの不調かもしれないと、考えていた。けれども、カーテンコールに立つ彼の表情の正直なこと。「今日はだめだったんだな」。彼もだめだと思っている、それを確認して、安心したようなうれしいような気持ちもした。一緒に見た友人も全く同じ。

それでも、30日の舞台から2日たって、まだ、わからない。何が違っていたのか。25日の満面の笑顔でカーテンコールに立ち、観客席の私がガッツポーズをしてしまった、あの日と、何が違っていたのかわからない。

たとえば、吉田鋼太郎さんのメネラオスにこの日は完全に負けていた。吉田さんたら、腹が立つほどうれしそうに伸びやかに楽しげに遊びさえ見せてガンとばして演じてたよね。(悔しい!)
瑳川哲朗さんのテュンダレイオスは貫禄で竜也のオレステスを受けていたし、北村くんのピュラディスも骨太な友情を見せていたのに、対する竜也がだめだった。何で?????、なぜなのか、何が違っていたのかわからない。唯一わかったのは、声に竜也の魔法がなかった。

声がかれているのとは違うと思う。それならわかりやすいのだけど。
声にあふれるような色彩や香りがないと、長いせりふを退屈に感じてしまう。竜也ではじめての経験。中島さんのように同じテンションで絶叫していたわけではない。せりふに強弱も高低もあった。でも、コロスやエレクトラの五七調の妙な節をオレステスのせりふにも感じた。なぜ????

何かを上手になぞって演じているのだけれど、彼がオレステスになってそこに立っている、という舞台ではなかった。
藤原竜也でも、こんな舞台があるのか。
十分迫力もあり、激しく、ぎりぎりに追いつめられた野生動物のような表情をして演じていた。だけど、それは、プログラムや大本営発表の劇評や雑誌のお約束の記事でいわれている演出の求めるもので、その範囲の「演技」なら、彼がやらなくてもいい。

 10月2日深夜0:40、ロンシャン競馬場。
 ディープインパクト、フランス凱旋門レース。
 最後の300メートルで、はじめて後続馬に指されて負けた。彼は飛べなかった。なぜだったんだろう。

神でない身が神の領域に達するのは、幸運と並々ならぬ努力と天賦のひらめきと壁を越える才能と、
彼ができるあらゆることをして。
それでもなお、女神が微笑まないときがある。そして、女神が微笑まなければ奇跡は起きない。

25日と30日と、藤原竜也の何が違うのかわからない。なぜ違ったのかわからない。
命あるものには「絶対」はあたえられていない。理由はそれだけなのかもしれない。

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Comments

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