« 演劇と映画 | Main | 顔見世大歌舞伎(11月大歌舞伎) »

November 09, 2006

幹の会 オセロ

30年前日本の商業演劇を変えた「近松心中物語」と蜷川演出の最高傑作「蜷川マクベス」のビデオを見て、
昨年のドレッサーで今のヒラミキのナルシストぶりも確認済みで、ヒラミキのオセロに期待しました。
「真田ハムレット」「三國柄本ドレッサー」(ともにビデオ)で存在感のあった三田和代さんも楽しみで、
グローブ座へ。

見終わって、日本の現代演劇の深刻な状況に、重たい気持ちになって線路沿いの道を歩いたのです。

グローブ座。本場を模し日本でのシェークスピア演劇の拠点とするべく作られたという建物。
明治座や歌舞伎座の古風ながらも重みのある風格に比べて、悲しいほどチープ。
風格を求めないなら、せめて、スタイリッシュにつくってほしかった。建築家の志が感じられない。世パブの方がずっと良いです。明治時代につくられた建物に風格があるのに、なぜ、平成の建物は安っぽいのでしょうか。


平さんの衣装とメイク。大きな宝塚劇場ならあっていたかもしれないけれど、小さいグローブ座では○○どん屋みたいに見えました。悲しかった。ヒラミキの声の深い響きは素敵でした。目を閉じて聞きました。
平さんの息子さんのイアゴ、フラメンコの曲をバックに軽やかにステップを踏む演出。だけど、なぜフラメンコなのか、最後まで意味不明でした。
三田和代さんは可憐でいとおしいデズデモーナを熱演して、わるくはなかったのですが、いかんせん、役の年齢と実年齢のギャップが大きすぎました。女優は男優に比べて不利です。デズデモーナとオセロの年齢に「大きな差」を感じないと、この戯曲は根底が崩れてしまうのです。演技力ではカバーしきれないのです。

1部に比べて、オセロが嫉妬の魔物にとらわれて崩れてゆく第2部は、ヒラミキの熱演で十分重みがありました。
照明は陰影を極端に強調して、オセロやイアゴの心を映し出してゆく演出意図がよくわかりました。
ただ、わかりすぎて、かえって、俳優の演技を越えて過剰だったような気がします。
そして、オセロの愚かしい苦悩をヒラミキが熱演すればするほど、戯曲は重苦しく救いがなく、ゆえに単調で、
私が舞台に求めるもっとも大切なもの、幸福なカタルシスを感じることが出来ませんでした。あまりにも真正直にシェークスピアを演じてしまったのでしょうか。

戯曲のおもしろさが1つも生きていなかった。それが残念です。面白いことは「芸術的演劇」では罪でしょうか。芸術作品は気むずかしく見るべきなのでしょうか。
蜷川さんは観客を退屈させないことに徹している。新感線のいのうえひでのりさんは見て楽しく豪華でお腹いっぱいになる舞台をつくる。ケラは刺激と笑いを恐ろしいほど放射する。これらの舞台が、若い観客を呼びチケットが完売になるのには、まっとうな理由があるのではないでしょうか。
歌舞伎は様式の中に安定した楽しさおもしろさ美しさがあります。観客は約束された満足をもって劇場をあとにすることが出来ます。
この夜のグローブ座の観客は、(50代以上の方が多く特に男性客が多いのが目を引きました)、幸福な満足感をもって劇場をあとにしたのでしょうか。聞いてみたい衝動にかられました。
日本の現代演劇は「楽しく飽きさせない軽い」舞台と「難しい意味を重く問いかける単調な」舞台と
二極分化してゆくばかりなのでしょうか。

|

« 演劇と映画 | Main | 顔見世大歌舞伎(11月大歌舞伎) »

Comments

Right away I am ready to do my breakfast, afterward having my breakfast coming yet again to read further news.

Posted by: best dating sites | October 28, 2014 at 11:49 PM

It is perfect time to make some plans for the future and it is time to be happy. I have read this post and if I could I wish to suggest you few interesting things or suggestions. Maybe you can write next articles referring to this article. I desire to read more things about it!

Posted by: best dating sites | November 07, 2014 at 10:54 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83948/12615601

Listed below are links to weblogs that reference 幹の会 オセロ:

« 演劇と映画 | Main | 顔見世大歌舞伎(11月大歌舞伎) »