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December 08, 2006

ロープの下に棲む神様へ

12月6日 水曜日。初日翌日のマチネ。平日の昼に立ち見も出ている満席。さすが、野田マップ。+ 藤原竜也主演。

カーテンコールで竜也は一度も笑わなかった。(夜公演を見た友人は「見たこと無いほど険しい表情」と言っていた。)オレステスの時でさえ3回目には、半ば北村くんに促されて客席に笑いかけていたっけ。厳しい問いかけがみんな自分の中へ内側へ内側へ向かっていた。今日の竜也で一番きれいだった。

作品は悪くなかったな。素材も作者が言いたいこともストレートで、風刺をまぶした野田芝居のせりふも楽しめた。ジャーナリストが報道でやっていること、落語家が高座でやっていること、私が授業でやっていること、それを彼は演劇でやっている。自分に見えている状況を、特定されない複数の誰か(・・・世間・・・)に伝えようとする行為。

しかし、それが演劇である以上、芸能として成り立たなくてはいけない。選んだ媒体が舞台である以上、作品は舞台の神様への捧げものになる。

今日舞台の神様に捧げられた供物は、宮沢りえちゃんひとりだった。
彼女の役は終始一貫している。一直線にやればよい。かわいい一途なタマシイの瞳がキラキラ輝いていた。竜也の役はその正反対にある。今の日本に生きている人間たち。何層にも重なった薄っぺらさを身につけた人間たち。そして自分の一番内側に絶滅品種があることに気づかずに死んでゆく人間たち。彼はそれを演じなければならない。そういうふうに生きたことのない彼が。この役は、彼にとってだけ、本当に難しい役なのではないか。

これを、彼が理解できるかどうか。今度の芝居の正否はここにかかっている。
いつもカーテンコールで、彼の正直さに感嘆する。
ひとかけらの笑みもなく、自分の内側に向かって問いかけるほんとうに厳しい顔をしていた。
けれどもあの正直さがすがすがしく、気持ち良くて、楽しくて。

劇場を出て、カテコを思いながら、12月の街を歩く。
潔さや真剣さ、まだ練れていない原石。そんな舞台だった。

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Comments

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