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April 15, 2007

コンフィダント・絆

2007年 4月12日 パルコ劇場 三谷幸喜脚本・演出「コンフィデント・絆」 
当然のことながらチケット激戦。オークションで入手。

楽しかった! 
「竜也」がお休みで、「古典」の森に分け入って行く楽しみに目覚め、その分自分の中で「現代もの」の比重が薄まっていたのだけれど、
ひさびさに、「ジャンル-現代」の舞台を楽しんだ。

古典の芸の緊迫とは違う、現代物のアンサンブルの楽しさ、脚本の世界を役者が演じてつくる遊びの空間。登場人物と一緒にいる感じ。そうそう、これだった。これが楽しいんだった。生の舞台に高いチケット代を払う価値はここにあったよね。

売れっ子の三谷幸喜さん、彼の作品には土の匂いがない。血の痛みもない。それでいて、都会的でおしゃれな作劇というのともちがう。軽くて笑えるのに痛い感じ。

誰でも、自分でコントロールできない何かを内側に持ちながら、生きている。
その、自分でコントロールできない何か、それを描くと、演劇はぐっと面白くなる。だから、自分ではどうしようもない土着性や家族のつながりを描く名作は数多い。
三谷さんの場合は、土や血ではなく、「性分」を描く。いつも、性分が絡み合う群像劇が抜群にうまい。
持って生まれたどうしようもない性分。自分だけが全然気づいていないで喜劇にもなるし、とらわれすぎて悲劇ともなる。そのどうしようもなさ加減、そこが三谷さんの作品の一番面白いところだ。

今回の作品のサビは、自分だけが気づいていなかった「才能のなさ」を、シェフネッケルが、天才(ゴッホ)に言葉で言われてしまう瞬間なのだけれど、それまで喜劇だったシェフネッケルの存在がその瞬間に悲劇になる、きゅんとなるくらい良いシーンだった。
しかも、一瞬悲劇に落としながら、実は、別のことを伝えている。

シェフネッケルは絵の天分はなかったけれど、別の天分があった、彼は別の部分で天才だった。
彼だけが、人は自己表現で生きているだけでなく、つながり(絆)のなかで生きていることを知っていた。
人は絆をつくりながら生きている。シェフネッケルには絆をつくる天性の才能があった。画家としては才がなかったにしても。
ゴッホは逆だった。ゴッホは絵では天才だったが、絆をつくる才能はゼロだった。そのふたりの、人生の、どうしようもなさ。

演技陣は、みな良かった。
スーラ。本質は優越感も嫉妬も自覚する嫌なやつなのに、中井さんのスーラには生まれの良さがにじみでていた。だから、誰もが、安心してスーラを自分と重ねて見ることが出来た。
ゴーギャン。粗暴で野生で天然で、でも、人間も絵も見抜いてしまう。ゴッホの才能に嫉妬しながらゴッホのもろさを受け入れる、弱さと強さをあわせもつ。こんな友達がほしい。寺脇くん、好演でした。
ゴッホ。生瀬勝久さんは、うまい。下手すると鼻持ちならない難しいやくどころを、かわいげのあるやつにまとめたのは、生瀬さんのお手柄だと思う。
シェフネッケルの相島さん、彼の持つ表現のはばのひろさの中からから、ずばりピンポイントで演じていた。彼はただのお人好しではない。実はゴッホの対極にいる陰の主役。その存在感をずっと発していたから、最後のシーンに持っていけたのだとおもう。

楽しかったので、もう1回みにいきたいと思うけれど、チケット完売。やれやれ。

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