« August 2008 | Main | February 2009 »

September 2008

September 24, 2008

人形の家

2008年9月24日

シアターコクーン イプセン戯曲の代表作。
でも、女性解放の先鋭となった作品という「名」の重さに、少々敬遠の気持ちもあり。
きっとたくさんの大女優が演じたいと思い、演じてきたであろうノラ。

宮沢りえさんのノラなら観てみたいな、と思いました。
昨年はじめの「ロープ」で、りえさんに竜也よりもキラキラを感じてしまったので。

満員の客席。2階席にも3階席にも立ち見が出ていました。

コクーンの真ん中に、細いライトに縁取られた低い四角い床。
ソファ。子供用の小さな椅子。クリスマスプレゼントの買い物袋。背の低いクリスマスツリー。
ノラと夫と三人の子どもとメイドと子守の、大切な家のリビングを四方から客席が囲んでいます。

シーンが変わるとき、役者を乗せたまま、低い舞台がゆっくりと回ります。暗転はありません。

役者たちはずっと全方向から観客の視線を浴びています。360度、自分の見えていないところからも視線を受ける。
役者が受け、役者から発している、
圧倒的な緊張感が、
戯曲の持つ金属的な緊張をむしろ中和させてくれているようでした。
そのために
ノラに起きていることを、まるで目の前で起きている事実のように感じとることができました。

厳格で現実的で歩く世間体で おそろしく俗人の 夫と
夫に小鳥ちゃんと呼ばれ 自らを小リスさんと応じる かわいいかわいい妻。

これを大女優の貫禄で演じてはいけないでしょう。
わたし、このあと、りえちゃん以外の女優でノラを見たくないなぁ。
あんな
男にとって完璧にかわいい妻。そして、必死に完璧なかわいい小鳥さんでいようとしていられる妻。しかも、夫に愛され夫を愛する妻である自分を譲らない女性。 さらに、自分が夫を愛する良き妻でいられることを当たり前に周囲に押しつけて迷いのない女。
しかも、それゆえに、最後に、自分の中にある夫が求めるものでない自我を知ってしまうノラを
ぶれなく演じられる。
宮沢りえちゃんと宮沢りえさんのダブルで、見ることが出来て。

戯曲の主張の青臭い性急さと古くささにさえ、
カテコが終わって劇場をあとにしながら、
りえちゃんのカテコのすがすがしい表情を思い出すと、なんだか勇気をもらえてような気持ちになりました。
イプセンから始まって100年かけて、女性はここまで来たんだよ!!と。

ノラをおどすクロクスタの山崎一さん、ノラに恋情を持つドクターの千葉哲也さん、ノラにエールを送るリンデ夫人の神野三鈴さん、みんな完璧でした。心地よい緊張感。奥行き。
役者の気持ちの良さを120%引き出すのが演出だと痛感しました。

もちろん、堤真一さんも。ぴったりのノラの夫でした。

(堤さんが悪いわけではなく)りえちゃんのノラがあんまり素敵だったので、ぜひ
別バージョンでも見たい。夫役だけ換えて。

中井貴一さん、北村ユキヤくん、生瀬さん、りえちゃんのノラの夫をやらせたい男優さんがたくさん浮かびます!

みたいなぁ。

| | Comments (4)

« August 2008 | Main | February 2009 »