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March 22, 2009

三月大歌舞伎 元禄忠臣蔵

歌舞伎座が壊されてしまう前に、
今年の歌舞伎座は観に行くことがまずは大切。
しかしながら、演目と役者を問わず、とはゆきませんから、
仁左衛門さんと、玉三郎さんは必ず。
菊之助さん、亀次郎さん、勘太郎さんもぜひ。

二月の玉三郎、菊之助の娘二人道成寺に続いて、
三月は元禄忠臣蔵。仁左衛門さん出演で3月20日、歌舞伎座昼の部へゴー!

江戸時代の仮名手本忠臣蔵とちがい、明治になっての実名でそのまま描かれた忠臣蔵です。
お話の中心は、最初から最後まで消えてしまった武士(さむらい)の心へのオマージュ。

 江戸城の刃傷
松の廊下で吉良上野介に太刀を浴びせた内匠頭を取り押さえる人々。
その処罰にあたって、刀を抜いた内匠頭の心を武士の鑑とみなす多門伝八郎。
弥十郎さんの多門伝八郎は品があり堂々として、切腹の沙汰を「御上の判断の片手落ち」と論じ寄る様子は実にかっこいい。
内匠頭とそれに続く家臣たちの行為を、失われつつある侍の心への哀歌とするテーマがこの最初の段で高く掲げられました。
あとはこのテーマに沿って、物語が重ねられます。
内匠頭の散り際を、もののふの美学として、美しく美しく。
ゆえに、
自尊心のために軽はずみに刃傷沙汰を引き起こし家臣を路頭に迷わすことになった馬鹿殿への、江戸の町人ののぞき見感覚は全くなし。
内蔵助はまだか、と待つひ弱な殿の哀れさ、駆けつけた内蔵助の理屈を越えた激情などはシーンごとなし。

美学の切腹で果てた殿ということであれば、残された者たちはその美学を引き継ぐ者でしかありません。
そこには、仮名手本に見られる人間劇は存在できなくなります。
内蔵助の目的は殿の心を引き継いで吉良を討つ、それだけになります。

 最後の大評定
そんなわけで、内蔵助の内面は意外と葛藤がなくなる。吉良を討つためにすべてを自分に任せて欲しい、という場面も、出来レースなので、緊迫しない。幸四郎さんの内蔵助に陰影がないのはそのためでしょうか。
そこを補うために、内蔵助のかつての友、浪人の井関徳衛門親子の忠義の切腹が入ります。
徳衛門父子の悲劇も正面から描きすぎているような気がしました。浪人ゆえに敵討ちの仲間にさえ加えてもらえないとしたら、武士の心って何なの?というような鋭い視線がほしかったなあ。

 御浜御殿綱豊卿
お目当ての仁左衛門さん、やっと登場。11時から始まって、仁左衛門さん登場が2時半。長かった。
前の2幕が武士の美学を重く重く描いていて疲れた観客のために、この幕では次期将軍の放蕩の浜遊びで観客を和ませます。
観客は世上有名な内蔵助の放蕩の姿を綱豊卿の姿の中に映して見ています。
しかも、この幕の主人公綱豊卿は浅野お家再興の成否の鍵を握る人物です。
硬軟演じて色気も凛々しさも出せる仁左衛門さんのはまり役!!!!

仁左衛門さん、きれいです。御上の浜遊びが上品で綺麗。世を欺く放蕩の姿の下に隠す男気。かっこいい。
吉良を討とうとはやる浅野家臣富森助衛門の染五郎を、ちょいとからかってしゃらしゃらと笑うさまが気持ちよい。最後には、能の獅子頭もつけて、染五郎を抑える姿が美しい。
3時間以上待った甲斐がありました。ふひゃふひゃ。もっと、近くでみたかったよ-!!!

浅野家臣に吉良を討たせて、内匠頭で始まった武家の美学をまっとうさせるためには、お家再興がなってはいけない。これはこの物語であってみれば当然の理屈になります。
ゆえに、大評定の内匠頭幸四郎さんよりも、お家再興の願いを出すべきか出さざるべきかという綱豊卿仁左衛門さんのほうが、ぐっと葛藤を見せてくれます。

特に、「吉良を討つたくらみ」をうち明けさせようと詰め寄る綱豊卿と、放蕩の姿は将軍職への野心を隠す姿と切り返す助衛門の対峙は、秀逸。きりきりとした緊迫。そのなかに大人の仁左衛門さんと子どもの染五郎が生み出す愉快なリズム感もあって、見ていてとても楽しうございました。

夜の部は、討ち入り前、討ち入り直後、浪士切腹の内蔵助をそれぞれ團十郎さん、仁左衛門さん、幸四郎さんで演じます。この内蔵助の見比べも面白かったかな、と思いながらも、綱豊卿の仁左衛門さんに満足。

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Comments

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