« 花形歌舞伎 三人吉三 鬼揃紅葉狩 | Main | 蜘蛛女のキス »

January 11, 2010

十二人の怒れる男

2009年11月23日。シアターコクーン。

「中井貴一にはずれなし」
同好の友人の言葉。賛成に1票。

蜷川さんの演出は今年の2作は好きでした。1月の「冬物語」と今回の「十二人の怒れる男たち」
(ムサシは脚本の遅れが演出云々を言えない有様でしたから。)
大人の俳優のかみ合う力を引き出して舞台装置はシンプル。

三方から客席に囲まれる舞台。長いテーブル。テーブルを四方から囲んでいる13個の椅子。奥のトイレへのドアと手荒いの水道。テーブルの上に下がる白い電灯。

もちろん脚本がすばらしいのです。
ごく普通に暮らす市民たちがもつ、理性を拒否する偏見と無関心。私たちが当たり前に認めあっている醜さ。
しかし、この本は人が生きる上で持つ差別や他者への侮蔑を暴き出しながら、
その醜さを暴露することを目的にしていない。

すべての人間が人として内に持つ正しさへの声を
ひとつひとつ掬い出すこまやかな作業く。脚本はその作業なのです。
だから、美しい。本当に美しい物語になっているのです。

その美しさを描くのにもっとも貢献しているのは、むろん、「正義」を希求する陪審員8号を演じる中井貴一さんです。人前で正義を希求するは今の日本の社会では排除されやすい姿です。しかし、中井貴一さんの演技には心のまっすぐな人の良さがあって、8号の正義を実に上品にかつ強く演じました。それは彼のもつ素晴らしい素養なのかも知れません。だから、息子への愛憎からまる感情をほとばしらせる陪審員3号西岡徳間さんとの対決が、暖かく感じられたのです。

辻萬長さんの理性的であろうとする市民のがんばりはとても分かりやすかったし、
筒井道隆さんはスラム出身者が必死に前へ進もうとしてたくさんの障害を越えている感じが良かったな。
どの役者さんもとても気持ちよかった。誰かを演じる心地よさがどの人からも匂い立っていた。
それは、きっと、脚本家と脚本と役者を信じた演出家の設定が良かったからだろうな。

すべての役者さんが
この舞台の本当の主人公が
父殺しの罪を問われている少年であることを知って、陪審の場にあり、舞台の上にいる。
この作品が最も訴えようとしていることを見事に描き出している心地よさのある舞台でした。

|

« 花形歌舞伎 三人吉三 鬼揃紅葉狩 | Main | 蜘蛛女のキス »

Comments

Hey there! I know this is somewhat off-topic but I needed to ask. Does managing a well-established blog like yours require a large amount of work? I'm completely new to operating a blog but I do write in my diary everyday. I'd like to start a blog so I can easily share my personal experience and feelings online. Please let me know if you have any kind of suggestions or tips for brand new aspiring blog owners. Appreciate it!

Posted by: best dating sites | December 27, 2014 at 07:17 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 花形歌舞伎 三人吉三 鬼揃紅葉狩 | Main | 蜘蛛女のキス »