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February 2010

February 15, 2010

二月大歌舞伎 一七代目中村勘三郎23回忌追善

2月4日(木) 歌舞伎座 名残惜しい。

11:30まで仕事。地下鉄で東銀座に到着。3階席3列目舞台正面の席へ。2幕目が始まったばかりのところ。

2幕目。俊寛。権力争いの中で流罪になった俊寛の無念と慟哭を描いている作品なのだと思っていました。
けれども勘三郎さんの俊寛は違ってました。
暖かい俊寛でした。最後の最後の「見送る」貌は無念ではなく暖かい万感こもった良い表情でした。
その俊寛に泣きました。

3人の男が流罪になっている寂しい浜で、若い男の恋が成就して、島の娘と夫婦になります。
辛い現実の中の確かな幸福。
若い二人に夫婦の縁が結ばれ、合わせて同じ流罪の境遇に苦しむ俊寛と丹波少将成経に親子の縁もむすばれます。都の栄耀栄華とはかけはなれたところにも幸せがある。掌を風から守っているような幸せです。

勘三郎の俊寛は、若者(丹波少将成経)の親代わりになって恋の成就を喜ぶ、やさしい人でした。
勘太郎の成経は絶海の孤島に流されてもなお上品さを失わず、都の貴公子がこんな海の果てで身分の低い女を妻として、それはあわれなはずなのに、若者の心根の美しさに見えました。

そこに赦免を伝える上使をのせた船が着きます。赦免は俊寛以外のふたりのみ、三人の流刑者の内自分だけの名がない子とを知り、嘆く俊寛。赦免の上使の意地の悪い言葉。上使(兼康)のヒールぶりがめいっぱい炸裂します。このあたりの近松の作劇は絶好調です。

若い二人のために、俊寛は上使を殺しその罪を受けて島に残るのです。男の無念ではなく、子どもの幸せのために自分の生涯を譲る親の心を感じました。

先代勘三郎さんの追善の口上。
今の歌舞伎座の暖かさを満喫できた一幕でした。23年前に亡くなった先輩をさまざまに語りながら観客を沸かせる役者たち。歌舞伎は人から人に繋がってゆく芸。だから厳しさもぬくもりもある。結局、そこにあるのは人間という生き物の楽しさなんじゃないか。それがなくなったら世の中はひからびるんじゃないかと、しみじみ感じました。

「じいさんばあさん」これも先代勘三郎さんの十八番だったそうです。
仁玉。もちろんこの二人の息はあっているし、ほのぼのとした名品なのかもしれないけれど・・・・

でも、仁さまと玉さまが1時間半やる演目かなぁ・・・。
この二人なら、他の演目を見たい。白髪の老夫婦。う・・・・・ん、正直、もったいなくて、バクハツしそうでした(笑)。

夜も見所満載。

高杯は勘三郎さんの狂言。高足でタップ。これは楽しかった!

そして、籠釣瓶。
玉の八つ橋花魁。田舎ものの次郎左衛門を天に昇らせる人睨み。くうぅぅんと音が聞こえそうでした。

その花魁以上に、魂を鷲掴みにしたのが、仁さまの間夫栄之丞が自分を裏切ったと疑って花魁を待って立つほんの数秒。その哀しさ苦しさ疑いと信じる心が螺旋で撒いたひものようになって立つ姿。う・・・・・ん絶品。
浪人と吉原随一の花魁、この二人のあいだに流れる物語を語ってあまりある数秒。
仁左衛門さんにはたったひとつの立ち姿に物語を作る至芸があります。

もちろん、勘三郎さんの次郎左衛門が花魁に裏切られた痛切の場も見事でした。
醜い男のあばたはいらなかったな。外側の表現でなくても、十分に哀切でした。

さいごに、殺された八つ橋の仇をうつ仁さまの栄之丞と迎える勘三郎の次郎左衛門の対決を見たかったのに!!!!なぜ、そこまでやってくれなかったのでしょう?無念。

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