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January 29, 2011

大人はかく戦えリ

大竹しのぶがチャーミングで。段田さんが情けなくて。

1月11日(火)ソワレ 新国立劇場 シスカンパニー

シスプロデュース得意の大人の役者の妙味満点。
脚本はフランスの女性作家ヤスミナ・レザ。


大竹しのぶと段田安則さん、秋山奈津子と高橋克実、この4人二組の夫婦のあいだにかわされる会話、交渉、言い合い、ののしりわめき、叫び、泣き笑いですすむ90分。

子どもの喧嘩にくらべて、「大人はこう戦うのよ!」という題名通りの展開、
観客は、他人のお馬鹿さを大いに笑ってすっきり。という作品です。

子どもの喧嘩に親が出て親の喧嘩になってしまう・・・って、個人主義のフランスでもある。世界中にあるのね。
その卑小さが普遍的テーマではある(笑)

演劇の深さを作る要素の一つは「舞台にでてこない登場人物の存在感」です。
このおはなしにも、舞台に出てこない登場人物がいます。二組の親のそれぞれの子ども。
それぞれの親がその子どもとどうつきあっているのか、それがくっきりとでてきて、どっちの子どもも他人からみればどこにでもいるしょうもないガキなんだけど、親にとっては可愛くて大切で正しい存在。あーほんと、この親の馬鹿な偏向ったら、自分の中にも周りの親の中にもうんざりするほどある。

そのうえ、フランス人社会ならではの微妙な社会的階級の差が見え隠れする。
弁護士夫婦の尊大と優越感と無関心。小間物販売をしている夫と社会問題にもアートにも関心を持つ自尊心いっぱいの妻。一皮むけば妻は夫に不満だらけだし、夫は妻に我慢しっぱなし。で、それを酒でまぎわらしている。
このへんは、たぶん、フランス人社会の孤独さでもあるのだろうな。

人間てあほやなぁ、というのをこういうふうに知的に見せてくれるのは小劇場の会話劇の楽しさです。
観客と演目がわたしに合っていて、客席でわく笑いにも共鳴できる幸福な空間でした。

自分の公平さや上質さをアピールするために冷静でいようとする被害者の子どもの母親、大竹しのぶさんが絶妙でしたねぇ。テンションの高さを抑えよう押さえよとする役がちょうど良い抑制になっていた。
段田さん、良い人を演じているけどずるいんだよねぁという役をこれもこれ以上ないというちょうど良さで。

対する弁護士役の高橋克実さん、健闘してましたが悪徳弁護士にしてはちょっと嫌みさや高慢さが足りなかったかな。秋山さんも上手な女優なのですが、大竹しのぶと対するには、少しストレートすぎたかも。

上流ぶっているけど実は下品な弁護士には内野聖陽、上品で気弱に装っているけど不平不満だらけの依存妻に寺島しのぶさんでやったら、さらにすごい芝居になりそうかも。

ともあれ、難しく考えず、人間てアホやと思えばよい楽しいお芝居でした。
 

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